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公式動画&関連する動画 [選別色の強まる株式市場]
強気相場は新たな局面に入った、今後は銘柄のクオリティが重視される――そう思われる理由を弊社最高投資責任者兼米国チーフ株式ストラテジストのマイク・ウィルソンがご説明します。
このエピソードを英語で聴く。 (https://mgstnly.lnk.to/HVTyCxRS)
トランスクリプト
「市場の風を読む」(Thoughts on the Market)へようこそ。このポッドキャストでは、最近の金融市場動向に関するモルガン・スタンレーの考察をお届けします。
本日は弊社最高投資責任者兼米国チーフ株式ストラテジストのマイク・ウィルソンが、サイクルの初期から中期への移行と、それが投資家のポートフォリオにとってどんな意味を持つのかについてお話しします。
このエピソードは7月27日にニューヨークにて収録されたものです。
英語でお聞きになりたい方は、概要欄に記載しているURLをクリックしてください。
弊社はこれまで、株式相場のすそ野が広がると指摘してきました。時価総額の非常に大きな一握りの銘柄から、景気に比較的敏感な銘柄に物色の矛先が向かうというのがそのポイントです。弊社が唱えるローリング・リカバリーの文脈では、これは理にかなったことでした。ローリング・リカバリーとは、企業がコストをそぎ落としたところで売上高が再び増加に転じ、営業レバレッジが多くのセクターではたらくようになる局面のことだからです。
しかし今、ローリング・リカバリーの初期のサイクルは終わりつつあり、市場はクオリティ重視の相場に移り始めていると私は考えています。弱気相場に入るわけではありませんが、これまでとは異なる相場であり、投資家のポートフォリオには個別銘柄のレベルで影響が及ぶ恐れがあります。
サイクルが成熟するにつれ、投資家は低クオリティ株のベータに報いるのをやめ、フリーキャッシュフローやバランスシートの強さ、利益率、利益の安定性などを重視し始めます。相場が回復を断念するわけではありません。投資先を決めるときの選別が厳しくなるのです。
この状況を目にすると、私は2021年の初めから中ごろまでのことを思い出します。コロナ禍の後、最初の相場回復が一巡すると、相場の主導役はクオリティが低くて投機色の強い分野から、クオリティの高い銘柄に移っていきました。この間、S&P500種株価指数は上昇を続けていましたが、その間に相場の主役は変わっていたのです。
今日も同じような相場展開になっている、と私は考えています。S&P500種指数自体は、すでに高クオリティ株の割合が大きなベンチマークになっています。高クオリティ株の割合がおよそ42%で、低クオリティ株の割合がおよそ28%なのです。このため、低クオリティ株からの移行を市場が消化し続ける間も、S&P500指数には下支えの力がはたらく公算が大きいでしょう。
では、ボラティリティの高い展開になる可能性はまだあるのでしょうか。もちろん、あります。
戦争がエスカレートしたり、FRBが今週の会合で予想外の利上げに踏み切ったりすれば、市場は調整を続ける可能性があります。FRBの利上げへの移行や地政学的背景に対する投資家の不安感が続く場合、S&P500指数では7000が重要な下値支持線になると私は以前からみています。しかしここで重要なのは、強気相場が終わりつつあることではなく、主導役が代わりつつあることのほうです。
このシフトの最も重要なけん引役のひとつが、AIの導入です。サイクルの初めのころには、利益率拡大のカギは典型的な営業レバレッジにありました。売上高が経費よりも早いペースで回復すると生じる、あの効果です。しかし今後は、AIを効果的に利用し、コスト構造のスリム化を続け、生産性の伸びを売上高の増加に変えられるかどうかで利益率が決まる面が大きくなるでしょう。
クオリティが問題になるのはそのためです。強い価格決定力、強靭なバランスシート、AI導入を真の成長につなげる能力。今後はこれらを有する企業が、そうでない企業よりも高い評価を受けることになりそうです。
投資の理由においてAIが重要で、かつ価格決定力が「中立」から「強い」のレベルにある企業は今後、純利益率の予想値がメジアン(中位数)に位置する銘柄よりも400 bps近く改善する可能性があります。また弊社の集計によれば、S&P500指数構成銘柄のおよそ25%が、AI導入による無視できない効果が第2四半期に得られていると述べており、1年前の14%より割合が大きくなっています。例の営業レバレッジが新たな原動力を得て生まれている格好です。
これはAI関連株の主導役のローテーションにも影響を及ぼします。次の値固めの局面では、半導体関連株とハイパースケーラーの両方で株価に下押し圧力が加わる恐れがありますが、私はそれでも、今後は半導体関連株がハイパースケーラーをアンダーパフォームすると考えています。半導体関連株はサイクルの初期に上昇する典型的なグループであるうえ、業績見通しの上方修正率はピークをすでに超えてしまっています。対照的にハイパースケーラーは中核事業のクオリティが高く、AIエージェントのアプリケーション層へのエクスポージャーも有しているうえ、AIを使った効率向上によるコスト削減能力がまだ過小評価されています。
S&P500 指数全体については、私は2つの変数に最も注目しています。それは金利と原油価格です。債券市場はFRBの利上げもあり得ると考えて、相場に織り込みつつありますが、私は「金利据え置き」を引き続き基本シナリオにしています。利上げに踏み切ればタカ派的なサプライズとなるでしょうし、リスクのある手段だと言えましょう。ただ、仮に実行されても、増益の勢いを保ったまま2026年を終えるというポジティブな展開を減速させるにとどまり、脱線させるには至らないだろうと私は考えています。
もうひとつのワイルドカードが原油です。原油価格の持続的な上昇は株価に織り込まれておらず、株式投資家にとっては、保有銘柄のクオリティをワンランク挙げる理由がひとつ増えるにすぎません。
まとめましょう。株式市場における物色範囲の拡大は終わっていませんが、その形と主導役には変化が見られます。弊社では、注目のポイントをサイクル初期のベータからサイクル中期のクオリティに移しています。市場が求めているのは成長だけでなく、その成長を耐久性のあるフリーキャッシュフローと利益率拡大に変換できる企業でもあるからです。
クオリティというファクターが浮上してきたのはここ1ヵ月のことです。今こそこれを取り入れるべきです。
最後までお聴きいただきありがとうございました。今回も「市場の風を読む」Thoughts on the Market、お楽しみいただけたでしょうか?もしよろしければ、この番組について、ご友人や同僚の皆さんにもシェアいただけますと幸いです。
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